世界のパイプオルガン史に名を残した 辻󠄀 宏~円熟期の作品と言えるサラマンカホールの楽器の魅力を探る

講師:廣野嗣雄(東京藝術大学名誉教授)

 

パイプオルガンはキリスト教と共に日本にやってきた。だが禁制によりその歴史は明治時代までとだえた。解禁とともにまず普及したのは足踏み式リードオルガンだった。パイプオルガンの本格的な設置が進んだのは、今からほぼ半世紀前のこと。公共音楽ホール建設と共にパイプオルガンの設置も進んだ。この流れの中で、東京藝大オルガン科卒業後オルガン制作に取り組み、アメリカ、オランダでの修業を経て、日本人として初めてパイプオルガンを完成したのが辻 宏だった。辻は、世界のパイプオルガン史に名を残した最初の日本人。その円熟期に制作されたのが、サラマンカホールの楽器である。